第3章【新人H君の徹底解剖】ヒトの目では認識しづらいフリッカーを"測定"する方法とは?
カメラで撮影する時にフリッカーの影響を軽減させる方法として、
ポンズちゃんのために何か方法がないかと頭を抱える新人H君。
第2章で、ポンズちゃんに提案した4つの撮影方法のうち
「シャッタースピードをフリッカーの周波数とぴったり一致させる」ことで
フリッカーに対処できないか検討しています。
どうやってフリッカーを観測しよう…
H君、悩んでいるようじゃのぅ…フォフォ
博士!実は、かくかくしかじか…
ほほぅ…それなら簡単な
方法を教えるかのぅ…フォフォ
よろしくお願いします…!
救世主 博士現る?!新人H君は
無事フリッカーを観測することができるのでしょうか?
フリッカー観測する方法とは…?
フリッカーを観測するために必要なもの…
そ れ は・・・
光センサとオシロスコープじゃ…フォフォ
なるほどです…!
フリッカーは、照明器具が発する光の強弱の揺らぎにより出現するため、
フリッカー観測では光の強弱を検出する光センサが必要です。
一般的に使われる光センサは、フォトダイオード、
フォトトランジスタ、フォトレジスタなどがありますが
光センサの代用として、一般的な発光ダイオード(LED)を用いることも可能です。
LEDは、太陽電池と構造がよく似ており、
光をあてると太陽電池と同じように電気を発生させるといった特性があります。
この特性から、発生した電気を
測定するとどうなるかのぅ…フォフォ
光の強弱を検出できるか
LEDで試してみます!
今回は簡易的な測定として、
LEDが実際に光センサとして使えるのか
実験も兼ね、LEDを用いることにしました。
LEDが光の強弱に対応した電圧を出力し、
その電圧をオシロスコープで測定するという作戦です。
これでフリッカー測定できる…はず!
いざ、フリッカーを測定…!
早速、LEDを入手してオシロスコープで測定をする新人H君。
下記[図1]のような観測環境を構築し、
研究室にあったLED懐中電灯を観測対象として測定を行ってみます。
[図2]のように、周期的な波形(光の強弱)を観測することができました。
こ…これがフリッカーの正体?!
結果の波形から、観測対象のLED懐中電灯では
フリッカーは1周期が5[ms]、周波数に変換すると
フリッカーの周波数は200Hzであることが分かりました。
ヒトの目では50Hz以下の光の点滅しか知覚できないため
この懐中電灯のちらつきは認識できませんが、
LEDとオシロスコープを用いることで
フリッカーを観測することができました!
シャッタースピードをフリッカーの周波数(200Hz)に
変更すれば、フリッカーの影響を軽減した写真が撮影できそうです。
が・・・
オシロスコープなんて家にないよ!
何処からかポンズちゃんの声が聞こえてきそうです…。
まだまだ課題が山積みだなぁ…
今回の実験での学び
備忘録①
光センサを選ぶのに悩みました…
今回の実験ではLEDを用いましたが、他の光センサ [フォトレジスタ(CdSセル)、フォトトランジスタ]だとどんな結果になるでしょうか?
■フォトレジスタの場合
フォトレジスタは、光の強さに応じて自身の電気抵抗が変化する光センサで、
- 変化する抵抗値の範囲が広いため、広範囲の光の強弱が検出できる
- 価格が比較的安価
といった特長があります。
[実験での気づき]
- 光の強弱の変化の速度に対して抵抗値の立ち上がり速度が遅いため、波形がなまって検出される
実験からフリッカーを検出したい時のような、高速の光の変化にはフォトレジスタは適していないことが分かりました。
■フォトトランジスタの場合
フォトトランジスタは、光を電気に変える「フォトダイオード」と電流を増幅させる「トランジスタ」を組合せた光センサで、実験を通して下記が分かりました。
[実験での気づき]
- フォトレジスタと比べ、高速な光の変化も計測可能
- トランジスタが組合せてあることで、LED代用時よりも出力される信号が大きい
しかし、今回のフリッカー測定ではオシロスコープの検出性能が高いため、そこまで大きな信号である必要がない点や、LEDの入手性の高さから、今回の実験ではLEDを代用しました。
実際に測定して、センサを
選定すべしじゃ…フォフォ
備忘録②
オシロスコープで測定したら
常に60Hzを検出して焦りました…
西日本の電源周波数と同じ60Hzのノイズだったことから、LEDが電源から発生するノイズ(電源周波数磁界)を受信し、オシロスコープで検出してしまったことが原因ではないかと考察しました。
測定環境ではLED付近に電源タップがあったため、電源タップから離して測定を行ったところ、60Hzのノイズはほとんど解消されました。
センサを扱う時はノイズの対処を
よ~く考えることが必要じゃ…フォフォ
奮闘しつつも一日一歩前進、ガンバレ新人H君!
次回もお楽しみに!